事業用自動車の健康起因事故は増加傾向にあり、平成25年の135件から、平成28年には304件に増加しています。
運転者の健康管理において事業者がしなければならないことは何かを確認し、健康起因事故を未然に防ぎましょう。
事業者は定期的に健康診断を実施し、運転者の健診結果に異常がないかを確認する義務があります。また、普段からも運転者の体調に異常がないか確認し、注意する必要があります。
異常がある場合は運転者に医師の診断を受けるよう促し、乗務できるか医師の意見を聞かなければなりません。そして、その意見を元に事業者は運転者が乗務できるか判断します。
労働安全衛生法に基づき、従業員に対する以下の健康診断の実施が義務付けられています。
健診結果が出たら異常がないかを確認しましょう。受診して終わりではありません。
特に所見に「要再検査」や「要精密検査」、「要治療」などがあればその指示に従い、運転者に医師の診断を受けるよう促しましょう。 忙しい場合でも時間を作って必ず受診させてください。
また、所見に「要注意」、「要経過観察」などがある場合は、運転者に対し生活習慣の改善に努めるよう指導しましょう。
健診結果だけでなく、普段からも運転者の健康状態に注意し、異常がないか確認しましょう。特に、脳疾患・心疾患など運転中に発症すると大きな事故につながる病気は注意が必要です。
そのような病気の前兆や症状が見られる場合は、症状の程度や慢性化・緊急性の有無などを総合的に判断し、病院に行くよう促しましょう。
自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある運転者が病院へ行き病気が判明した場合、事業者は運転者が乗務しても問題ないか、乗務する場合の注意点はないかなどの意見を医師に確認しなければなりません。
意見を聞くのは産業医など事業者と連携関係にある医師が望ましいですが、違う場合は医師に運転者の職業上の特徴など考慮すべき事項を伝えてから意見を聞きましょう。
事業主は医師の意見等を基に、運転者の乗務の継続、業務転換、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の措置を決定します。 その際は差別的な扱いをせず、疾病・症状の程度により医師の意見等に従って適切な措置を実施しましょう。
その後も運転者に医師等による改善指導や保健指導を受けさせ、継続的に健康状態を把握しましょう。 改善が見られた場合は、医師の診断を受け再度意見を聞き、問題なければ乗務を再開しましょう。